減塩もほどほどに!

 最近、高血圧で治療を受けられる患者さんが多くいます。高血圧は様々な身体症状を招き、取り返しのつかない疾患の誘因となります。一番は何と言っても脳・循環器系への影響で、最近の調査では死因も2位、3位が心疾患、脳血管疾患が占めています。そのため、厚生労働省は「減塩の促進」を国民に働きかけています。そんな中、相次いで減塩の効果を疑問視する調査研究が発表されています。減塩について、あまり神経質になりすぎても良くないようです。その一つを医学ライター・井出ゆきえさんの記事を見つけたので紹介します。 

  また、医師側から血圧を下げる薬の副作用の問題もいろいろ取りざたされています。結局は日常的に、少し減塩にも注意をして、鍼灸治療を受けるのが一番良いのでしょうか(手前味噌ですみません)。

◎塩論争勃発/減塩しすぎも心血管病の発症率が上昇(米国調査研究2011/11/23)
 ひと振り、ふた振りが健康的か!?摂り過ぎても不足でも心血管病に 食塩制限
『2012年4月9日ダイヤモンドonlineカラダご医見番(井手ゆきえ)』
 塩分の過剰摂取が血圧の上昇をもたらすのは科学的に証明されている。疑義を挟む余地はない。
 日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン(2009)による1日の食塩摂取基準は6グラム未満で、「本来はもっと少なくするべき」(循環器専門医)という意見が多い。実際の日本人男性の塩分摂取量は11グラムを超えている。40~70歳男性の6割以上が高血圧という現実もあって、同学会では厚生労働省に減塩の促進を働きかけている。
 一方、減塩が高血圧を主要因とする心筋梗塞などの「心血管病」の発症を予防する効果があるか、という点については長らく論争が続いている。というのも血圧とは違い、確実な証拠が見当たらないからだ。血圧を下げるからには「心血管病も予防するはず」との推測が半ば常識化していたのである。
 ところが、だ!!!!
昨年(2011)秋口来、相次いで減塩の効果を否定する調査研究が発表された。なかでも2011/11月に米国から発表された約3万人の被験者を4年間追跡した試験では、「食塩の過剰摂取はもちろん、不足し過ぎても心血管病を引き起こす“Jカーブ現象”が示された」のである。つまり、減塩により心血管病の発症率は減少するが、
ある線を越えると、今度は逆に発症率が上昇するというのだ。
 がぜん、減塩懐疑派は色めき立った。
というより主治医から厳しい減塩を指示されていた患者が歓声を上げたというべきか!!、
一般紙にも「A dash or two is OK──ひと振り、ふた振りがより健康的」との見出しで大きく取り上げられた。
 古今東西変わりなく塩味は魅力的なものらしい。
一方の減塩推進派は「結果を精査するために大規模試験が必要」とし、討論を受けて立つ構えだ。専門医のこの1年は「Salt War」に明け暮れるだろう。
 肝心の適正摂取量だが、同研究によると、
   ■1日食塩摂取量換算約18グラム以上のグループと、
   ■5.8グラム未満のグループで心血管病発症リスクが上昇。
 ということは、5.8~18グラムが適正域である。ちなみに、厚生労働省が定めた日本人の1日食塩摂取基準は、成人男性9グラム未満、成人女性は7.5グラム未満だ。なお、この試験結果を鵜のみにするかどうかは各自、ご判断を。(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)